天狗は、日本の民間信仰にて伝承されている神とも妖怪ともいわれる伝説上の生き物です。
主に高山に棲み、神通力を使ってさまざまな怪異をもたらすと信じられていました。
平田篤胤は天狗とは現世で知識だけを追い求め精神的な修行を怠った者が変化したものであると論じています。また鎌倉時代に書かれた源平盛衰記にも同趣旨のことが書かれており、天狗は通常の六道(地獄道・餓鬼道・阿修羅道・畜生道・人間道・天道)には属さない天狗道に堕ちたものであるとしています。
天狗は知者であり仏法にすぐれているので地獄/餓鬼/阿修羅/畜生道には落ちない。しかし無道心だから天道にも上れない。結果行き場がなくなって天狗道に落ちて輪廻から見放されてしまうのである、と。
一般に赤顔鼻高、山伏(やまぶし)の格好で、あらゆるものを吹き飛ばす団扇(うちわ)を持ち、一本足の高下駄をはく格好で知られます。天狗は仏教に詳しいなど、他の妖怪より知性が高いようです。にもかかわらず仏教を嫌い、人間を魔道へ導く魔物とされることから「外法(げほう)」「天魔(てんま)」とも呼ばれていました。
「天狗参上」では、そんな天狗について、様々な角度からその生態に迫ります。
江戸時代に人気が出た修験者姿の鼻高天狗ではありますが、実はこの姿は室町時代の絵師(画家)によって描かれたのが最初と考えられています。