本文へスキップ

子供が大好きな念仏天狗〜天狗参上

天狗伝説concept



天狗伝説

 天狗は,天狗倒し(山中で大木を切り倒す音がするが行ってみると何事もない),天狗笑い(山中でおおぜいの人の声や高笑いする声が聞こえる),天狗つぶて(大小の石がどこからともなくバラバラと飛んでくる),天狗ゆすり(夜,山小屋などがゆさゆさと揺れる),天狗火,天狗の太鼓などさまざまな怪異を働くが,こうした怪音,怪火の現象は山の神などの神意のあらわれと信じられ,山小屋の向きを変えたり,山の神をまつって仕事を休んだりした。


子供が大好きな念仏天狗

 富山県小矢部というところに峰村(みねむら)という小さな村がありました。
 この村には大きな一本の杉の木があり、子供が大好きな心優しき天狗が住んでいました。
 一本杉の下で子供たちがはしゃぎまわる姿を杉の上からそっと眺めているのが、天狗にとって最高のひと時だったのでしょう。

 ところが、この村の夫婦はたいそう気性が荒く、喧嘩が絶えることもなく、子供たちは、いつも不安がり悲しい思いをしていたということです。
 そんなわけですから、心優しき天狗は子供たちが大変かわいそうになり、姿を消してこっそりと家に入り込んでは仏壇の鐘をチーンと鳴らして念仏を唱えたのです。
 誰もいない所から鐘の音がするので、薄気味がってどこの家からもとりあえず夫婦喧嘩は収まったというのです。

 でも、一軒おさまると、次の一軒でまた夫婦喧嘩、これが毎晩、毎晩、ここでもそこでも夫婦喧嘩が始まるので、さすがに天狗はもうくたくたになりました。
 疲れきっていたものですから、天狗は家を去る際にその姿を消しそこなって、何と障子にあの長い鼻の影が映ってしまったのです。
 それを見た村の者は、天狗様が心配してくれている事に気が付き、もう喧嘩をしないようにお互いに気遣うようになったのです。

 こうして峰村には笑いが絶えなくなり、この心優しき天狗の事を「念仏天狗」と呼ぶようになりました。
 そして、天狗の一本杉にも、また、多くの子供たちが遊びに来るようになり、毎日を楽しく過ごしたということです。
(富山県山辺郡)

天狗伝説に戻る




店舗イメージ

shop info.店舗情報