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大山の天狗〜天狗参上

天狗伝説concept


天狗伝説

 天狗は,天狗倒し(山中で大木を切り倒す音がするが行ってみると何事もない),天狗笑い(山中でおおぜいの人の声や高笑いする声が聞こえる),天狗つぶて(大小の石がどこからともなくバラバラと飛んでくる),天狗ゆすり(夜,山小屋などがゆさゆさと揺れる),天狗火,天狗の太鼓などさまざまな怪異を働くが,こうした怪音,怪火の現象は山の神などの神意のあらわれと信じられ,山小屋の向きを変えたり,山の神をまつって仕事を休んだりした。

 天狗には,一定の通り道や聖域があり,そこはこの世と異界の境でもあって,侵犯した者には怪異をもって知らせたのである。
 昔話のなかの天狗は子どもに計られて宝物を奪われてしまうなど,笑話化されて語られるものが多いようです。

大山の天狗

「きこりと天狗」


 むかし、大山のふもとの村にきこりが住んでいた。
 ある日、山に入って木を切っていたら、木のそばに天狗が出てきて、きこりの仕事をじっと見ていた。 きこりは「これが大山の天狗か。何とか生け捕りできないものか」と考えながら知らぬ顔で仕事をしていると、天狗は「お前は今、わしを生け捕りしよう、と思っていたるだろう」と心の中を見透かして言った。

 木こりがいろいろ心の中で思うことを天狗がすぐに当ててしまうので、きこりは驚き、天狗には人間の心の動きがみな解ってしまうことを知って、それから後は、がむしゃらに木を切っていた。天狗も面白そうに仕事を見ていたが、きこりが切った木っぱが飛び散って、思いがけず天狗の自慢の鼻に当たった。

 天狗の鼻は弱点でもある。今度は天狗が仰天して、「いやぁ、人間は心で考えてないことを突然やるものだ」と言って山の中へ逃げ帰ったという。

「天狗の団扇と遠めがね」


 むかし、大山のふもとに性根のよくない男の子がいた。
 その子がある日、竹の杖を突いて大山に登ってみた。
 ところがそこには天狗がきていて、なにやら団扇をあおいで宙に浮いたり降りたりして遊んでいた。男の子は初めはこわごわと見ていたが、見ているうちに天狗の持っている空の飛べる団扇が欲しくてたまらなくなってきた。

 なんとか天狗をだましてあの団扇を盗ってやろうと思って、杖にしていた竹の棒の片方からのぞくようにして遠くを見ながら、「やあ大阪が見える、大きな城だなぁ」「おおこっちは京都か、五重塔が見える」とさもさも面白そうに大声を出して見ていた。

 天狗は不思議に思って子供に寄ってきて「おまえ、何を見ているのだ 」「わしか、わしはこの望遠鏡で大阪や京都をここから見てるのだ」天狗はその望遠鏡とやらがどうしても欲しくなった。「それならこの団扇と取り替えよう」といったので、子供はしぶしぶと勿体をつけて竹の棒と団扇を替えた。

 取り替えた途端、子供はさっと団扇を使って空を飛んで逃げてしまった。天狗は大喜びして望遠鏡という竹の棒を目にあて「さあ大阪」「やれ京都」と見るが何もみえない。
 そこで、やっと天狗は子供に騙されたことに気が付いたのだった。

「鉄砲撃ちと天狗」


 むかし、大山のふもとに鉄砲撃ちの名人がいたそうだ。

 ある、大雪の日、山に登って獲物を追っていたら、急に突風が吹いて天狗が飛び出してきた。猟師が驚いていると、天狗は「おまえの鉄砲はドンパタリンか」と赤い顔をして聞いた。
 猟師は何のことか意味がわからなかったが、早く返事をせねば天狗は今にも食いつきそうなほどに真っ赤な顔をしているので、ままよ、「わしの鉄砲はドンパタリンだ」と言った。後でよく考えてみると、獲物を「ドン」と撃てば「パタリン」と倒れるのか「パタリン」と獲物が逃げてから「ドン」と鉄砲を撃つのか、という意味のようだった。

 天狗は猟師の返事を聞くと、「それなら、このわしを狙って撃て」と言い捨てて風のように去った。猟師も狙いすまして撃ったが、手応えはなかった。しかし、大山が大雪の日には、雪の上に片足だけの足跡があるという。




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