清白寺（山梨市）甲府・甲斐国

清白寺（山梨市）

　武田信玄の弟・武田信廉が建立したと伝えられる清白寺について、その歴史と信玄との関係を詳しく解説します。

清白寺：兄弟の絆と武田家の最期
　山梨市に位置する清白寺（せいはくじ）は、武田信玄の弟である武田信廉（たけだしんげん）が建立したと伝えられる寺院です。
　信廉は、信玄の兄弟の中でも特に芸術的な才能に恵まれ、絵画や彫刻に秀でていました。
　一方で、彼は戦場でも兄を支え、その統治に大きく貢献しました。
　しかし、彼の名が歴史に深く刻まれるのは、兄・信玄の死後の出来事です。

信玄の影武者：
　信廉 元亀4年（1573年）、天下統一の夢を目前にして、信玄は病に倒れ、53年の生涯を閉じました。
　彼の死は、武田家の存続を左右する重大な秘密でした。
　信玄は、自らの死が敵対する織田信長や徳川家康に知られることを恐れ、死を3年間秘匿するよう遺言しました。
　この重要な遺言を託されたのが、弟の信廉でした。
　信廉は、信玄に瓜二つであったため、兄の「影武者」となって、信玄がまだ生きているかのように振る舞いました。
　病床にある信玄の代わりに、時には甲冑を身につけ、時には書状の返信を代筆するなど、信玄の死を隠すという重要な役割を果たしました。
　清白寺は、信廉がこの重要な任務を遂行する中で建立したと伝えられています。
　この寺は、信廉が兄の遺言を守り、武田家を支えようとした、兄弟の絆と忠誠の象徴と言えるでしょう。

清白寺の歴史と信廉の思い
　清白寺は、室町時代の様式を色濃く残す美しい寺院です。
　特に、本堂と庫裏は、当時の建築様式を伝える貴重な文化財として、国の重要文化財に指定されています。
　信廉がこの寺を建立した背景には、兄・信玄への深い敬愛と、武田家の未来への強い思いがあったと考えられます。
　彼は、兄が築き上げた武田の歴史と文化を後世に伝えるために、この寺を建てたのかもしれません。
　また、信廉は、自らの芸術的才能を活かし、寺院の建築や仏像の制作に深く関わったとされています。
　清白寺は、武田信廉と信玄の兄弟の絆を示す場所であり、信玄亡き後の武田家を支えようとした信廉の強い思いが込められています。

　この寺を訪れることは、戦国時代の過酷な状況下で、肉親が互いに支え合い、困難を乗り越えようとした、人々の温かい物語に触れる貴重な体験となります。
　清白寺は、静かに佇み、信玄亡き後の武田家の歴史を語り継いでいます。

住所： 山梨県山梨市三ヶ所620
公共交通機関でのアクセス： 電車を利用する場合は、JR中央本線の東山梨駅が最寄り駅となります。
　 JR東山梨駅からのアクセス ：東山梨駅からは徒歩で向かうことができます。所要時間は約7分から10分程度です。
車でのアクセス： 中央自動車道の勝沼インターチェンジ（IC）が最も近いです。
　 勝沼ICからのルート： インターチェンジを降りた後、車で約15分から20分で到着します。カーナビを設定する場合は、「山梨県山梨市三ヶ所33-1」と入力すると良いとされています。
　 駐車場 清白寺には、約30台から50台分の駐車場が完備されています。