岩殿城の城主説



 鬼が住んでいたという岩殿山の山頂には、戦国時代、武田二十四将のひとりである小山田信茂が築いた山城があったとの記録があります。

 岩殿山 岩殿山は、JR大月駅からでもよく見え、大月市のシンボルにもなっています。

 1582年の織田軍による甲州征伐では、小山田信茂は新府城から敗走する武田勝頼に岩殿城での籠城を薦めるが、織田方へ寝返り、武田勝頼を郡内に入れなかった。
 窮した勝頼は天目山の戦いをもって自害。甲斐武田氏は滅亡した。
 その後、小山田信茂は武田氏への不忠を咎められ織田信長に処刑されます。

 この記録を考えると、岩殿山の鬼とは、主君を裏切った小山田信茂のことを隠喩しているようにも思えます。
 ただし、信茂は城下が戦場になって民衆の命が失われることをさけるために、勝頼の入城を拒んだ、という説もあるようですから、そうであれば逆に「鬼に見立てられたのは勝頼で、信茂こそが桃太郎のモデルだ」という見方もできるかもしれません。