全国の桃太郎ここに集結



 鬼退治で有名な桃太郎の話ができたのは室町時代以前で,一説によると鎌倉時代まで遡ると言われています。
 主人公のモデルとして一般的に認知を得た者というと,古事記にも登場する神鬼ヶ城話上の人物,「吉備津彦命」がいます。

 しかしながら、桃太郎の話の舞台となっているところは、日本各地に点在しています。
 吉備地域(岡山県総社市)と尾張・美濃地域(愛知県犬山市)は、様々なメディアにも取り上げられ認知度は、おそらく別格でしょう。
 特に「桃太郎伝説の生まれたまち」として、文化庁から日本遺産として認定された岡山県は、桃太郎誕生の地として、圧倒的地位を確立しているといえるでしょう。

 しかしながら、桃の実から生まれた桃太郎が、犬、猿、雉を連れて鬼ヶ島に鬼退治に行くというのは、ある種、基本路線ではあるものの、地方により様々なバリエーションが存在します。
 面白いところでは、柳田國男の著書「桃太郎の誕生」で紹介された奥州民間の「桃の子太郎」では、夫婦が花見に行った時に桃が夫人の腰のあたりに転がってきたというのが、桃太郎の誕生その時となっています。
 また、同書で紹介する出羽の庄内の桃太郎出生では、川から流れてきた桃を神棚に上げておいたら桃から泣き声とともに飛び出してきたといいます。
 川で拾った桃を食べようと神棚に飾ることなくいきなり包丁で真っ二つにせずによかったです。桃太郎、命拾いをしましたね。

また、ここでは、桃太郎が旅に出るきっかけも、「地獄から手紙を持って鳥が来たので、旅を思い立った。きび団子を持って地獄の門番の鬼を懐柔し、地獄のお姫様を連れて逃げる。
 それを大鬼が火の車で追ってきた」というように単なる鬼退治だけでなく、地獄を味わい、最後にはお姫様を助け出して終わるという武勇伝付きとなっています。

 そして今回紹介する山梨県大月市の桃太郎も同様に、桃太郎誕生の瞬間にいつくかのバリエーション(説)があるようです。
 山梨県立図書館の調べによると、「桃から生まれた説」、「若返ったおじいさん、おばあさんから生まれた説」、そして「川で拾いあげた説」です。

 まずは、全国の主だった桃太郎に登場してもらいましょう。